1. はじめに
1.1. 本ドキュメントについて
本ドキュメントは、MSM-PF(マルチセンシングモジュール・プラットフォーム)の超低消費電力タイプであるMSM-PF梅の概要および仕様を示すとともに、MSM-PF梅を使ったIoT実証試験を簡単に実感、体験していただくために必要な基本的な使用方法について説明したものです。
1.2. MSM-PF梅が得意としているセンシング対象
MSM-PF(マルチセンシングモジュール・プラットフォーム)は複数のセンサーを簡単に取り扱えるようにしたIoTエッジ端末プラットフォームです。MSM-PFには松・竹・梅3種類のプラットフォームをラインアップしています。本ドキュメントで解説するMSM-PF梅は、電池やエネルギーハーベスター(光、温度差、振動などによる発電器)による駆動が可能な「超低消費電力駆動」が特長です。センサー端末駆動のための電気配線工事が不要なため、センサー端末を広範囲に設置できるメリットがあります。
MSM-PF梅は電力に制限があるため、センサーのサンプリング条件や同時測定が可能なセンサーの数、および端末内での計算処理などが一部限定されます。またタイマーで決められた時間毎に、数秒単位の短時間測定をする「間欠動作」で超低消費電力駆動を実現しているため、複雑かつ非定常な動作でいつ動くかがわからない装置、例えば製造ロボットなどの監視には向いていません。工場のバックヤードで定常的に運転され、かつ変化が小さいポンプやファンなどの監視(見える化や予知保全)に向いています。
次の図にMSM-PF梅の適用が適している対象、あまり適していない対象について工場系設備を例にして示しました。
1.3. MSM-PF梅の構成
MSM-PF梅は直接インターネット回線に接続することができないため、指定のゲートウェイを介してクラウド機能(エッジプラットフォーム)と接続する構成が必要です。2022年12月現在、テセラ・テクノロジー株式会社製のIoTルーター(貸し出しテスト機)と、株式会社九州テン製のQRIoT X(購入可)をゲートウェイとして用意しています。
ゲートウェイの駆動には100V電源が必要です。またゲートウェイとクラウド(エッジプラットフォーム=My-IoT + MSM-PFクラウド)は有線LANもしくはLTE回線により接続されます。したがって100V電源とインターネット回線(少なくともLTE回線が安定している場所)の確保がゲートウェイの設置条件となります。
MSM-PF梅とゲートウェイ間は、BLEまたはPrivate LoRaによる低消費電力ローカル無線によって接続されます。なお1台のゲートウェイに対して最大8台までのMSM-PF梅を接続することができます。
ゲートウェイとクラウド(エッジプラットフォーム)間はMQTTプロトコルによって接続され、センサーデータの転送フォーマットはMSM-PF松・竹・梅共通の仕様としています。一方MSM-PF梅とゲートウェイ間は消費電力の関係上、独自のインターフェース仕様としています。またセンサーの種類によってインターフェース仕様が異なる場合が多いため、新たなセンサーを接続するためには開発が必要な場合があることをご留意ください。